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もしものときに備えて制震性能を考えてみよう。

2019.03.18CATEGORY:

日本は地震大国。大きな地震によって、さまざまな物が壊れ、街が破壊され、人の命までも奪われてしまうことがあります。そのため、家屋の制震性能を高めておくことは必須。安心感を生み、生活を守るひとつの手段といえるでしょう。そこで今回は、家の制震性能に関する事柄について調べてみました。

「耐震」「免震」「制震」とは?

昔から大きな地震に見舞われている日本は、家の耐震性能を高める努力をしてきました。東日本大震災以降は、耐震強化の意識がさらに高まり、さまざまな方法が生み出されています。よく耳にする「耐震」ですが、ほかにも似たような言葉「免震」や「制震」があります。これらの構造は、どのような違いがあるのでしょうか。

「耐震構造」
最も普及し、採用されている工法。「建築物が倒壊せず、住人が避難できること」が前提で、建物を強くし揺れに耐える構造です。具体的には、壁や柱を強化したり補強材を入れたりします。つまり、建物自体を堅くして、振動に耐えるようにするのです。

「制震構造」
建物内にダンパーなどの「制震部材」を組み込み、「地震の揺れを吸収させる構造」です。振動を抑えるために、建物に粘りをもたせます。高層ビルなどの高い建物に有効です。

「免震構造」
建物と地面の間に免震装置を設置。「建物を地盤と切り離すことで、振動を伝えない」ようにします。リニューアルした東京駅丸の内駅舎に採用されている構造です。

現段階では免震構造が効果が高いと言われていますが、免震構造はある程度の敷地面積が必要といった条件もあるため、狭小地には難しいことや、免震装置自体が高価であることがデメリットとしてあげられます。どのタイプが適しているかは、家づくりのプロである専門家と相談しましょう。

耐震基準とは何か?

次は、耐震基準に関して。地震の振動に耐え得る能力を定めた耐震基準は、関東大震災の翌年1924(大正13)年に施行されました。その後、1981(昭和56)年に大きく改定され、新しくなっています。(現在では、1981(昭和56)年以前の基準を「旧耐震」、以降を「新耐震」と呼んでいます。)新耐震基準では、建物のことだけでなく人の安全を守ることに重点が置かれ、震度5程度までの地震では倒壊しないことなどが、旧耐震基準とのおおまかな違いです。

過去の大地震時での倒壊率をみると、新基準で造られている家屋は旧基準での家屋より、倒壊する家がかなり少ないと判明しています。(阪神・淡路大震災では、1981(昭和56)年以前の、つまり改定前の建物に被害が集中していたそうです。)しかし、新基準で造られている家でも地震の回数や規模などによっては、倒壊することも。家は建築されたときから経年劣化が始まっているので、新基準になっている家でも耐震診断を受け、家の耐震性をチェックしておく必要があります。

地震に耐える強度の目安・耐震等級

最後は、地震に対する建物の強さを表す耐震等級について。等級数は1〜3に分けられ、高い数値になるほど地震に耐えられるという目安です。

耐震等級1 建築基準法と同程度の建物
耐震等級2 等級1で想定する地震の1.25倍に耐えられる
耐震等級3 等級1で想定する地震の1.5倍に耐えられる
※等級1で想定する地震・・・数百年に一度程度発生する地震

耐震等級3にすれば安全性が100%と確保されたとは、言い難いでしょう。さまざまな計算と素材から耐震強度を上げているので、倒壊も損傷も抑えることができますが、予期せぬ形の地震(熊本地震のような震度7を2回観測など)が発生することもあり、“絶対”はありません。耐震は、屋根の重さや耐力壁の数、その壁と耐震金物などの配置などで変化します。税金やローンを組む場合に必要とされたり優遇されたりする等級もありますが、どうすれば強い家になるかなど知識を得ることで、ご自身でも耐震等級に対して意見や考えを持つことができます。専門家に相談しながら、耐震等級に関して検討してみるといいでしょう。

まもなく防災週間が始まります。災害を未然に防ぐためには行われる取り組み、防災について考え、見直すのに絶好の時期です。この機会に、家の耐震性能に関してじっくり検討してみるのもいいですね。家が壊れてしまってからでは手遅れ。早めの対策をしていきましょう。